Column No.22
海外のインテリアトレンド Japandi style(ジャパンディスタイル)とは?
昨年末ごろから、ホットなインテリアトレンドとして『Japandi style(ジャパンディスタイル)』が注目を集めています。かねてから海外でも人気の高かった日本の伝統的なインテリアスタイルと北欧のインテリアスタイルを融合させたもので、海外を中心に人気に火が着き、日本でもネクストブームとしてじわじわ知名度が高まっているのです。
日本・北欧のインテリアスタイルとは?
ジャパンディ(Japandi)とは、日本を意味するJapanと北欧を意味するScandinaviaを掛け合わせた造語です。2017年頃から海外インテリア業界でたびたび耳にするようになった新語でしたが、コロナ禍で世界的におうち時間が重視されるようになった2020年頃から世界各地で注目のインテリアスタイルとなり、今ではすっかりひとつのインテリアスタイルとして確立されました。ジャパンディを深く理解するためには、日本と北欧、それぞれのインテリアスタイルについて知る事が重要です。
日本のインテリアスタイルとは?
世界から見た『日本のインテリアスタイル』のイメージとは、伝統的な日本家屋やお茶室など、いわゆる和室のインテリアデザインを指します。その特徴は、ずばり『侘び寂び』。海外でもwabi-sabiとして認知され、人気の高い日本特有の美意識は日本のインテリアスタイルにも反映されています。まず重要なのが、「充分な余白」です。間を大切にし、その静けさから美を感じさせるために、伝統的な日本のインテリアは必要最低限の数や大きさ、装飾で素朴にデザインされています。その素朴なデザインを引き立てるのが「自然の美しさ」です。畳はイグサを織って作られますし、柱や床もヒノキや杉など天然素材から作られています。和室に入るとイグサの香りがふわっと漂い心地よいですよね。天然素材を多用する事で、シンプルなデザインに温かみを感じさせるのも日本のインテリアデザインの大きな特徴のひとつです。また、繊細で柔らかな光を生み出す麻や和紙を用いた照明も日本の伝統的なインテリアデザインの特徴です。揺らぎのある自然な光は疲れた心を癒してくれます。
北欧のインテリアスタイルとは?
デンマークやフィンランド、スウェーデンなど北欧の国々は、数多くの著名インテリアデザイナーを輩出したインテリアデザイン大国として知られています。日本でも90年代の大ブームを経て、今ではひとつのインテリアスタイルとしてすっかり定着していますよね。北欧諸国は日照時間が短く、厳しい冬の期間が長いことから、昔から家にいる時間を大切にする文化があります。そのため、自然と北欧インテリアは居心地の良さを追求するものとして進化し続けてきました。アルヴァ・アアルトやナナ・ディッツェルなど、北欧を代表するインテリアデザイナー達は機能的で美しく、今でいう人間工学に基づいたデザインの椅子やソファの名作を数多く残しました。丸みを帯びたフォルムや北欧の大地で生まれた天然素材を使用した名作家具は、今でも北欧インテリアの真髄として影響を与えています。また、北欧の国々では、長い冬場に物資不足になることを避けるため、物を長く大切に使い続けることを子どもの頃から教わるといいます。そのため、「長く使える良いもの作りたい」という意識が作り手にも自然とはたらき、人生を共に愉しめるような丈夫で美しいインテリアが多いという特徴もあるのです。その他にも、家の中が明るくなるような柔らかな色使いや可愛らしい動物や植物をモチーフにしたファブリックなども北欧インテリアの魅力です。
日本と北欧インテリアスタイルの共通点
距離も離れていて、文化や気候も異なる日本と北欧。しかしそのインテリアスタイルは意外なことに共通点が多く見られます。どちらも自然への敬愛に溢れ、ナチュラルな風合いを活かした天然素材を好み、シンプルで無駄がなく、それでいて柔らかで暖かみのあるデザインが特徴的です。
ジャパンディインテリアのポイント
日本風な要素を含むジャパンディスタイルは、私たちにとっては馴染み深い雰囲気ですので、いくつかのポイントをおさえれば簡単に取り入れることができます。
ポイント①侘び寂びを意識する
ジャパンディスタイルのポイントとして一番に意識したいのが「侘び寂び」です。ここでいう侘び寂びというのは、海外からみた日本特有の美的感覚、たとえば「静けさや質素さ、素朴さに美しさを見出す事」と考えると意識しやすいかもしれません。インテリアで侘び寂びを意識するためには、「物を少なく余白を広く」を心がけましょう。ソファーやテーブルも大きすぎず、同居人数から考えてちょうど良い大きさのものを選ぶと良いですね。シンプルで装飾の少ないナチュラルなものを、ソファーは低めのものを選ぶと空間をより効果的に演出できます。反対に、ダイニングテーブルは少し高めで、家族揃って座った時に一人一人の空間が広めに取れるよう、心持ち大きめの天板のものを選ぶのも良いかもしれません。ダイニングテーブルで北欧風テイストを取り入れると、部屋全体のバランスが取りやすくなります。また、食器棚や衣類の収納もミニマルな印象になるよう整えるとジャパンディらしさが増します。棚の中のものが見えないような、収納方法がおすすめです。シンプルな引き扉付きの収納でモダンで和風な雰囲気にするのも良いですし、扉がないオープンな収納棚ならファブリックで目隠しするのも良いでしょう。
ポイント②自然を愛し、ナチュラルな風合いに
ナチュラルな天然素材を生かすのもジャパンディスタイルの重要なポイントです。無垢材を使い木目が楽しめる家具や陶器製のお皿や花瓶を使うのがオススメです。木の種類も杉やヒノキなら和風、マホガニーやオーク材なら北欧風のテイストが強まります。雰囲気を見ながらお好みで選んでみてください。涼しげな雰囲気にしたい時は竹や白木もおすすめですし、北欧風のペーパーコードチェアも合わせやすいですよ!お皿や花瓶はクリアなガラス製品よりもほっこり温かみのある陶器製の方がジャパンディスタイルにしっくりきます。ざらざらした質感を楽しめるような素焼きの花瓶もおすすめです。ガラス製の製品なら、カラーガラスなどを使うとお部屋のアクセントにもなります。
ポイント③色選びで雰囲気を決める
なんだかしっくりこないというかたは、色選びを考えてみると良いかもしれません。物を少なめに配置するジャパンディスタイルは、色味が少ないとぼんやりとしてつまらない印象になってしまいます。また、色味がはっきりしすぎているのも、モダンでポップな印象になってしまうので、ジャパンディからはかけ離れてしまいますね。ナチュラルな木の色やアイボリー、クリーム色などの柔らかなニュートラルカラーはジャパンディスタイルの基本的な色合いとして多めに取り入れたいカラーです。壁紙や大きなテーブルなどで取り入れると良いでしょう。そこにアクセントとしてアースカラーをプラスすると、インテリアの配色が引き締まり部屋の印象がよくなります。北欧風のペールブルーやスモーキーな黄色を組み合わせたり、日本の墨を連想させるような柔らかな黒も広々とした空間によく合います。
ポイント④やわらかな光の演出
お部屋の照明を工夫すると、より本格的なジャパンディスタイルを楽しめます。必要以上に部屋全体を明るくせず、部屋の中に自然な明暗が作り出されるようライティングを工夫してみましょう。間接照明やダウンライトもジャパンディインテリアと相性抜群です。日本と北欧、どちらのインテリアもほのかで柔らかな光を好みます。和紙や竹細工の照明機器や北欧風のペンダントライトもおすすめです。日中は窓から光を取り入れると、部屋の雰囲気が変わります。カーテンを開けなくても柔らかな日光を感じられるので、リビングには非遮光カーテンがオススメです。アイボリーやクリーム系の明るいカラーだと柔らかな雰囲気に、グレーやライトブラウンのカラーならシックでモダンな雰囲気に仕上がります。
ポイント⑤部屋のデコレーションは植物がおすすめ
過度な装飾を好まないジャパンディスタイル。そんな部屋を飾るのは、ズバリ植物です。観葉植物は天然素材の家具ともしっくり来ますし、スッキリした空間に彩りを与えてくれます。窓際に大きめの鉢植えを置いたり、食卓に季節の花を生けたりするのも良いですね。低めのソファーやローテーブルの近くには、ハンギングプランツを吊るすとバランスが整います。壁が寂しい場合は、北欧風のファブリックパネルでアクセントをつけるのもおすすめです。リビングやダイニングなら植物柄のシックなものを、子供部屋には北欧風のアニマルプリントでも遊び心があって良いかもしれません。
部屋ごとのジャパンディスタイルの取り入れ方
色選びや家具の雰囲気、ライティングなどいくつかのポイントをおさえれば、モダンでオシャレなジャパンディインテリアスタイルの完成です。とはいえ、今すぐ家全体をジャパンディスタイルにするのは大変です。徐々に家具の配置を整えたり、断捨離することで近づけていくと、無理なく理想のスタイルに近づけます。まずは部屋ごとに、どんなジャパンディインテリアにしていきたいか、理想のイメージを持っておくと良いでしょう。
リビング
家族が揃って過ごすリビング、ジャパンディスタイルが一番映える部屋とも言えますよね。家具を揃える前に、部屋のものを少なくするところから始めると、理想をイメージしやすくなってきます。今ある家具で、ジャパンディスタイルに近づけたら、カーテンやランプなど、細かいものからジャパンディ風のナチュラルなものに変えていくと良いでしょう。
キッチン
ごちゃごちゃしがちなキッチンも、ジャパンディスタイルにするとスッキリオシャレで清潔な印象になります。まずは出しっぱなしの調理器具や調味料を見えないように収納してみる事から始めましょう。とはいえ、毎日使うものは、取り出しにくいと不便です。生活スタイルに合った収納法を考え、楽に続けられるしまい方を見つけると、綺麗なキッチンを保てるようになりますよ!収納場所が決まったら、シンプルな食器棚やお気に入りのお皿などを揃えていくと楽しいですね。
玄関
意外と玄関もジャパンディスタイルを取り入れやすい場所のひとつです。靴や傘などは見えない場所にしまいましょう。玄関に飾り棚がある場合、お花や観葉植物を飾るとアクセントになります。玄関の足元には床置きの暖色系ライトを置くと夜も柔らかな光で温かみを演出できます。
ジャパンディスタイルでぬくもりのある部屋作りを…
世界で人気が高いジャパンディスタイルは、おうち時間を心から満喫できる温かみのあるスタイルです。シンプルでナチュラルなインテリアは、日本の家屋とも相性が良いので、積極的に取り入れていきたいところですね!これから日本でもますます話題になること間違いなしのジャパンディスタイル、この機会に先取りしてみませんか?
ネクストハウスデザインでは、そのジャパンディスタイルを体現したモデルハウスを公開しています。
まだご覧になられていない方は、是非一度足を運んでみて下さい。