Column No.27
広さのスタンダード
家は広ければ広いほうが良いと思われがちです。テレビや雑誌でも、坪数や部屋数が多い家が「ステキな家」と紹介され、もてはやされていますが...本当にそうでしょうか?住まいに求める「広さ」について、改めて考えてみませんか?
広い家が必ずしも「良い家」であるとは限らない
広い家は豪華でラグジュアリーな雰囲気があります。しかしマイホームに求めるものは豪華さやラグジュアリー感でしょうか?快適さや心安らぐ空間ではないでしょうか?当社ネクストハウスデザインでは、坪数や部屋の畳数、○LDKといった部屋数にとらわれず、居心地や使い勝手がよくて、家族が程よい距離感でいられる『理想の住まい』を追い求めております。そのため、皆さんには「広さのスタンダード」として「コンパクトで無駄のない設計」をご提案をしています。
ライフスタイルにマッチした「居心地の良い家」を建てるために必要な『広さ』について、当社の考え方をご紹介いたします。
広すぎる家が抱える問題
家が広いと開放感がありプライバシーが保たれるといった点がメリットがありますが、実際に住んでみると以下のような課題が出てきます。
・メンテナンスが大変
・光熱費がかかる
・生活動線が長くなる
・建設費用が高くなる
・多くのインテリアや家電を揃える必要がある
それぞれの課題について詳しくみていきましょう。
メンテナンスが大変
広い家は掃除や防犯、外構の管理などメンテナンスが大変です。部屋数が多ければ、その分毎日の掃除に時間がかかります。掃除が大変でハウスクリーニングに外注したい場合も、広ければ広いほど、費用が割高になってしまうため、気軽に頼むのは難しいでしょう。
また、防犯面でも広い家では使わない部屋があったり、窓の鍵を閉め忘れたりといった不安が生まれてきます。セキュリティ会社のサービスに加入するなどの、継続的な防犯対策も必須です。
光熱費がかかる
広い家は小さな家に比べてエネルギー効率が悪く、空調が効きにくいため、冷暖房費が高くなりがちです。部屋数が多い場合も、部屋の数分冷暖房器具を用意すれば、光熱費が高くなる一因となるでしょう。
生活動線が長くなる
広い家はゆったりとした余裕があり、一見魅力的ですが、忙しい時にその広いスペースを移動しなくてはいけないのは大変です。例えば、時間がない朝に広い部屋を行き来して、朝の準備をするのは大変ではないでしょうか?不必要に広すぎる家では、家事動線・生活動線などが伸びて、日々の暮らしでの動きが非効率になりがちです。
建設費が増加する
広い家を建てる場合、当然ですが十分な広さの土地が必要です。土地を購入する場合は土地代が高くつき、建築費用が高くなります。また、家本体も資材コストなどが増え、結果的に小さな家よりも費用が倍増してしまい、予算オーバーすることもあるでしょう。
多くのインテリアや家具を揃える必要がある
テレビや雑誌で見る広い家が素敵に見えるのは、広いスペースを彩る素敵なインテリアがあるからです。家に合ったインテリアがなければ、どんな家も殺風景になってしまうでしょう。広すぎる家では、空間を活かすために多くのインテリアが必要となるのです。
コンパクトな家のメリット
日本は国土が狭く、家を立てられる土地が限られているので、海外に比べるとコンパクトな家が多い傾向にあります。コンパクトな家=狭いといった悪いイメージを持たれる方もいらっしゃるでしょう。しかし、コンパクトな家には、コンパクトな家の良さがあるのです。
アットホームな空間が作りやすい
家は家族全員にとって居心地が良い空間である必要があります。居心地の良い空間を作るためには、「プライバシーの確保」と「家族全員でくつろげる空間」この二つを叶えなくてはいけません。広い家なら、部屋数も多く、プライバシーの確保は簡単でしょう。しかし、自分の部屋に入った時に、「シーン」としている…まるで、一人暮らしのワンルームマンションのような家では、やはり寂しくないでしょうか?家族が揃っているのに、交わることがないのは、居心地の良い家とは言えません。
コンパクトな家なら、それぞれのプライベートな空間を確保しつつ、互いの存在を感じられるような「ちょうどよい距離感」で暮らすことができます。たとえば、吹き抜けがあれば、コンパクトな家でも開放感があり、家族が1階と2階に分かれている時でも、近くにいるような感覚があるでしょう。また、リビングとダイニングキッチンをL型に配置すれば、空間にリズムが生まれ、生き生きしたリビングダイニングになるでしょう。
建設費用を抑えられる
コンパクトな家は、土地代・建築費用に無駄がありません。後々に使わなくなるスペースを省いて。必要な分だけに注力し、家を建てれば、全体の建築費用を抑えたうえで、こだわりたい部分に予算を割くことができます。広すぎる空間に、ありきたりな家具をならべるよりも、居心地の良いコンパクトな空間を自分の好きなもので彩る方がステキな暮らしができると思いませんか?特に、水回りや照明、壁材・床材などは、後から簡単に変えることができないので、家を建てる時にこだわって仕上げる必要があります。土地代に予算を持って行かれず、設備費に回すことができれば、10年、20年と共に時を重ねることができる大切な空間を最初から作ることができるでしょう。
光熱費・維持費を抑えられる
今のご時世、光熱費は高くなる一方です。地球のことを考えても、なるべくエネルギー効率の良いコンパクトな空間で暮らせるのがベストですよね。エネルギー効率を考えたコンパクトな家なら、夏は涼しく冬は暖かくすごすことができます。特に、広い開口部から入るあたたかな日差しで温まる冬の家は家族が集う空間として最適です。
家族構成が変わっても暮らしやすい
お子さんがいらっしゃるご家族、ご両親と同居されているご家族…最適な間取りは家に住む人数や家族構成、ライフスタイルで変わってきます。「大は小を兼ねる」ということわざもありますが、「将来のために細かく多くの部屋数を作ろう」という考えは、正直なところ、あまりおすすめできません。家族構成、ライフスタイルは時と共に変化していきます。お子さんが成長すれば、いずれ夫婦二人で暮らすことになるかもしれません。そうなった時に、広くてガランとした家に住むよりも、程よくコンパクトで満ち足りた家に住む方が幸せな気がしませんか?
コンパクトな家のデメリット
コンパクトな家を計画する時に設計をミスすると、収納場所が少なくなってしまったり、圧迫感があったりと「コンパクトな家だから起こり得る不都合」もあります。しかし、これらの問題は、建築家・ハウスメーカーが創意工夫することで解決できる問題です。当社では、「コンパクトでステキな家」を建てるノウハウを十分に蓄積しているので、建築家がお客様のご希望やライフスタイルに合わせて、最適なデザインをご提案することが可能です。
コンパクトな家の設計で考えている事
視線の抜けを意識した設計
自然光がたっぷり入る大きな窓を視線の先に設けることで、広い空間を感じさせることができます。また、間仕切りを最小限に抑え、無駄な廊下を極力作らないことや、壁や床、家具などの色を明るいトーンにすることでも、広さを感じられるオープンな空間を作ることができるでしょう。
開放感を感じさせる高さのメリハリ
天井の高さや床材の選び方にもコンパクトでステキな家を建てるヒントがあります。天井の高さにメリハリをつけることで、トンネルを抜けた時のような開放感を感じさせることができます。また、住まい全体で足元の床材を統一すれば、視覚的な繋がりにより、広い空間を感じさせることができるでしょう。
インテリアや収納の工夫
視覚的な混雑感を軽減させる無駄のないシンプルなデザインも、開放感を与える手助けになります。例えば、階段下や家具の内部など、無駄なスペースを有効活用して収納スペースを確保し、部屋をすっきりと見せたり、間接照明を利用することで、空間に奥行きを与え広さを感じさせたりすることができます。また、ウッドデッキに椅子やテーブルを置いて、リビングスペースを拡張させたりするのも効果的でしょう。
「広さのスタンダード」とは
「理想の家」に過度な広さは不必要、と私たちは考えております。ですから『小さく建てて豊かに暮らす』、そんな家づくりをご提案し続けています。機能的で快適に暮らせるよう設計に工夫を凝らし、「理想の家」を追い求めていきます。
時が経てば、周りの風景は変化し、ライフスタイルや家族構成も変わってくるでしょう。そんな変化の中でも、普遍的で「TIMELESS」な魅力を持ち、家族が帰る場所として、ずっと愛され続ける家。そんな家を一緒につくりませんか?